太陽系の深奥の巨大惑星
 天王星・海王星が見頃です!

 

 
外惑星(地球よりも外側の惑星)の場合,外惑星が地球をはさんで太陽と反対側に位置(『衝』といいます)するときが,一番観察しやすい時期となります。その頃が惑星までの距離が最も近くなり,また明け方や夕暮れ時ではなく,夜中の条件の良いときに観察することができるため,好条件といえるのです。反対に,木星や土星は太陽方向に位置することから,条件はあまり良くないということがおわかりになるでしょう。
<上図参照:この夏の外惑星の位置>


 
はじめに,天王星・海王星の紹介をしましょう。
 天王星は太陽系の第6番目,海王星は第7番目の惑星
で,太陽からそれぞれ28億7099万 km (19.2天文単位),45億400万 km (30.1天文単位)のところを,一周にそれぞれおよそ84年,165年ほどかけて公転しています。

 
 それでは
天王星のプロフィールからです。

 天王星の大きさは,地球のおよそ4倍。質量は地球の14倍もありますが,ほとんど軽いガスと氷でできているため平均密度は水の1.3倍程度で,そのため重力は弱く,地球の9/10ほどしかありません。自転周期は17時間,かなりの速度で回っています。
 天王星は,1781年,イギリスのウィリアム・ハーシェルのよって発見されました。近世になって最初に発見された惑星です。(そういう意味で昔には存在しない惑星でした。)
 天王星について最も不思議なところは,自転軸が公転面に対して98度も傾いていることです。これはほとんど横倒しの状態で,まるででんぐり返りをしながら公転しているというイメージです。またその傾きのために42年間,一方の極が太陽の方へ向いています。地球のようにむりやりに四季を当てはめると,1シーズン(単純計算ですが)21年間続くことになります。さぞかし夏は暑く,冬は寒いと想像してしまいがちですが,実は太陽からの距離があまりに遠いため,太陽からの光・熱はほんのわずかしか届かないため,気温差はほとんどないのです。夏も冬もほぼ同じ。驚きですね。
 その遠く離れた天王星から太陽を見ると,地球のからのようにはもちろん見えません。明るく輝く小さな点です。
 望遠鏡で拡大して観察すると,天王星は青っぽい緑がかった色をしているのがわかります。これは大気に含まれるメタンのためだといわれています。中心には岩石質の核があり,そのまわりを凍った水,そしてメタン,アンモニア等からなる分厚いマントル層が覆っています。そして一番外側は水素とヘリウムの大気です。探査機ボイジャー2号が観測した雲の動きから,天王星では最大で時速7900kmの風が吹いていることがわかっています。これは高速な自転速度と関係があるのでしょう。
 
天王星には環っかがある!1977年,天王星が恒星の前を通過したときに,恒星の光が数回にわたってさえぎられたことから数本の環の存在が確かめられました。しかし天王星の環は,光の反射率が低く,また幅も狭いため地球から観察することはできません。なおボイジャー2号の観測からも,より複雑でより多くの環が見つかっています。
 衛星は,27個が確認されています。一番大きな衛星はティタニアで直径は1578km。小さく遠く,暗いため小型の望遠鏡では観察できません。

 
続いて海王星のプロフィールです。
 海王星の大きさは,地球のおよそ4倍ほどですが,天王星よりはわずかに小さめです。質量は地球の17倍もあり,天王星よりも重い天体です。自転周期は16時間,こちらもかなりの速度で回っています。
 海王星は,1846年にガレにより発見されました。天王星の発見後,その軌道において計算と観測の食い違いが生ずるのは未知の惑星の重力のためであると予想され,天王星の向こう側にもう一つの惑星があるのだろうと考えられました。ガレは,独自の計算を通して,その計算通りの位置に新惑星を見つけたのです。
 
 海王星には岩石質の中心核があり,それを水,メタン,アンモニアの氷のマントルが覆っています。大気は水素が主成で,その他ヘリウムとメタンが含まれています。大気の色が青色に見えるのは,メタンが太陽のオレンジ色や赤色の光を吸収して,青色の光だけを反射しているからであろうと考えられています。天王星も同様です。

 
海王星にも環っかがある!惑星探査機ボイジャー2号の観測から,、海王星にも4本の完全な環があることがわかっています。また海王星には,木星の大赤斑のライバルのような巨大サイズの大暗斑が存在します。メカニズムは木星の大赤斑と同じようなものだと言われています。大暗斑の周囲では,時速2000kmと太陽系で最も速い風が吹いているらしいのです。
 海王星は13個の衛星を持っています。その中で一番大きな衛星はトリトンです。
トリトンの直径は2700kmで,水星の半分ほどの大きさがあります。このトリトンは5.9日周期という猛烈なスピードで海王星の周囲を回っているのですが,おもいしろいのは公転の向きが自転方向とは逆向きであるということ。また海王星の赤道面から軌道が23度も傾いているめずらしい軌道面をもっていることです。これらのことから,トリトンはどこかからやってきた後,海王星にとらえられた天体ではないかと考えられています。

天王星・海王星の見どころ



 
上の図を見てください。望遠鏡でかなりの高倍率にしたときの(しかも最高の条件のときの)イメージです。木星や土星に比べて,あまりにも小さい(それほど遠い)ため,表面の模様などは見ることができません。
 まだ天王星は,少し面積体(円盤状)に見ることができますが,海王星の方は恒星と区別がつきにくいといえます。シーイングがかなり良いときに,同じ視野に恒星を導入して比較すると,「なるほどちょっと大きいかな?」程度に見ることはできます。本体の色についても,天王星は青っぽく,青緑がかった感じにとらえることができますが,海王星については,明るさが不足していることもあり,「言われればそんな気がする」程度の青緑っぽさです。
 じゃあ見どころってどこなのさ?!と言われるのですが,一つは,そのわかりづらい青緑っぽいイメージ。そして,そんな遠くの惑星が見えるんだという驚きの感覚。通常の恒星ではなく,太陽系の奥深くの巨大な惑星が生で見えているんだという意識,それこそが天王星・海王星を見るときの醍醐味と言えるのではないでしょうか。

 天王星の光度は6等弱,ぎりぎりで肉眼で見ることのできる明るさです。海王星は肉眼ではまったく不可能な8等弱。すなわち双眼鏡や望遠鏡などの観察するための武器が必要となる天体といえます。
 それでは
観察時のポイントです。

大気の安定した夜に
 できるだけ気流の落ち着いた夜をねらって観察しましょう。この気流状態の善し悪しで,円盤状の見え具合が変わります。シーイングの落ち着いた夜は,高倍率でもねらえます。こういう点では,比較的気流の良い夜が多い夏場が観察の好機となるのは良いことです。

適切な倍率を選んで
 むやみに倍率を上げすぎるとぼやけ方が大きくなって,見え味は良くありません。また視野が狭くなって,同一視野に恒星がない場合など,これ本当に海王星?なんていう気持ちになるときがあります。
 天体望遠鏡の有効倍率といわれる口径センチ当たり15〜20倍の範囲がおすすめでしょうか。観察する夜の気流を考慮しながら,適切な倍率を選んでみましょう。

☆★下に,天王星・海王星の今夏の位置を示す図を載せてみました。初心者の方には,わかりづらく,役に立たない星図とは思いますが,双眼鏡を覗きながら,その視野と広範囲の星図とを比べながら見つけ出してみてください。また機会があれば大きな望遠鏡の観察をお薦めします。

<天王星の位置>
・・・緑色の矢印は8月初旬より20日間ほどの移動量を示します。
 


<海王星の位置>・・・緑色の矢印は8月初旬より20日間ほどの移動量を示します。

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