11月天体観望会  2020/11/14

 
 鳴門での観望会にて,ふたご群までに観望会したいですねという声があって,そこで話に出された観望会。そもそも11月に観望会を開くのは,かなり珍しいことかもしれません。ここ10年,11月期の観望会はなかったような気がします。
 今回の観望場所は,風が強いかもとの予想の元に勝浦か美波町のどちらか。トイレ完備ということを気遣っていただいて,南阿波サンライン第一展望台ということになりました。
 所用で到着が遅くなったものの,(リポーターは)19時到着。
 ところが風が強すぎ。強いんじゃありません。ホント,強すぎ・・。観望会係さんの言ってたとおりです。展望台を囲むように生えてるヤシの葉が吹き飛びそうなほどに踊ってます。観望できないことはないけど,長時間はこの強風に身体は耐えられないかなという感じです。
 そこへ観望会係さんから連絡があり,勝浦か比較的近くの別の場所に変更しませんか?とのこと。ダヤンさんが,第四展望台付近にいるらしいけど,やっぱり風が強いらしい。それで紹介してくれたのが,現地から5kmほどのところにある『玉厨子農村公園』。
 GPVを見てみると,猛烈な風は海岸沿い限定っぽい。とりあえず現地確認と思い,到着してるヨネさんとNatsuさんに待機してもらって,一人その公園へ。親切にOsakaさんがリモートでコース案内もしてくれました。

 数分で無事到着。本当に風は全くありません。待機中のヨネさんとNatsuさんに電話。合流できました。到着を待っている間,目をこらしていると遠くに一人,望遠鏡を組んでいる御仁を発見。近寄って話しかけてみました。香川県からの方で,年に数回,数時間かけてここに来てるとのこと。9cmの小型屈折鏡筒と冷却CCDを使って,天頂付近の天体を順に撮影してると話てくれました。PC画面を見せてもらいましたが,このときはアンドロメダ大星雲の中心部が大きく映し出されていました。モノクロでしたが,立派な画像に見えました。この方は,GoogleMapでこの場所を見つけたそうです。山中でトイレがあって,あまり人が来そうにない所。空の暗さも良くて,確かに良い場所だと思います。それにしても良く見つけたものです。当会のダヤンさんもOsakaさんも知ってたみたいで,思わず感心。

 その後,会員間でいろいろと連絡を回しながら,Eishowさん,星羊翁さん,のぶりんさんとご家族さんらが合流。Osakaさんも到着。けっこう大人数になってました。
 感じとしては,各自の自家用車付近に機材を出して全員が『観望バージョン』。並列的になっていて,好きなところに行って望遠鏡を覗く。こちらと思えば次はあちら,順にのぞき込んでいくという,何となくお祭りの露店のイメージです。『M31が入った』の声に,そそくさと移動。そんな感じで進んでいきました。


 ダヤンさんの55cm巨大双眼。リポーターが到着すると,すでに何割か組み上がりつつありました。
 積載する車も新調されていて,軽から普通車に。ダヤンさんによると,スペース的に余裕で車中泊できるようになったとのこと。確かに起き上がっても頭は打ちそうにありませんが,添い寝してくれるのは巨大ドブ。真横に絶壁が迫ってるようで,とても安眠できるようなスペースとは思えないのですが・・・。
 当夜は空の状態が悪く,55cmの本領は発揮できないまま。
 メジャーな天体もマイナーな天体もいくつか見せていただきましたが,『どの恒星も惑星状星雲に見える。』とはダヤンさんの弁。
 確かにピントの山は掴みにくかったように思います。それでも口径の暴力は健在。M15も数えられるほどに見事に分解してました。 
 ヨネさん所有機材は12cm屈折。12cmの割に小振りで軽量。
 セッティング当初は自動導入の動きが良くなくて,悪戦苦闘していましたが,しばらくすると『ウィーン』と音を立てて,次々と天体を導入してくれてました。
 
 星像は,空の状態はイマイチなので精密な判定は難しいのですが,屈折機特有のシャープな点像。コントラストの高いイメージでした。
 火星は,最接近の頃に比べて2割以上小さくなってます。それを大きく見せてくれようとして若干高倍率過ぎていたようです。それでも終盤に見せてもらえた天王星は丸く青く,しっかりとした円盤状に見えていました。
 ズームアイピースの性能が対物レンズの高性能さを生かせていない気もしましたが,低倍率ではその影響も少なくて,プレアデスやh&xのような散開星団は,本当にきれいに見えていました。
 
 
   Eishowさんが持ち込んでいたのは,12cmED屈折×2構成の双眼望遠鏡。APM製のもの。変倍可能ですが,当夜使用していたのは38倍。広視野タイプの接眼鏡が使われていました。
 
 この双眼望遠鏡にタブレットを無線接続して,アラインメント後,エンコーダを介して星図中に見えている視野円を追うことで目的の天体を視野内に導入。
『下を向いて天体を導入』することができます。これはかなり快適。
 使用ソフトはSkySafari(下画像参照)

 でも,それ以上に12cm,38倍,広視野。アポクロマートによる高いコントラスト。総合的なイメージはかなり高品質です。
 
   ちょっと操作させていただきました。
 アンドロメダ大星雲なんか全体像が気持ちよく視野内に収まってます。コントラストが高いので腕の感じや,伴星雲のM32等も良くわかります。M42はほぼ写真の通りの輪郭を追うことが可能。
 M78星雲も,片ボケ彗星状の模範的な見え方でした。
   ご家族とお知り合いの方と大勢で参加してくれたのぶりんさんのおなじみの機材。基本的に反射望遠鏡なんですが,副鏡にサポーターがないので,星が屈折のように丸みがあります。星にチレチレ感がなく,星を見てるという感じがとても好印象。
 鏡筒も当会には珍しいブラックで精悍さ抜群。白い赤道儀との対比が絵になってるといつも感じます。だけど,こうやって暗闇で写真を撮ると,本当にうまく撮れません。処理して鏡筒を浮かび上がらせると赤道儀が白くなりすぎたり。活動記録泣かせの鏡筒だったりします。
   赤道儀が多い機材の中にあっての経緯台。本格観望派の人には経緯台を使う人が多いですね。Osakaさんのミューロン210も微動ネジがちょうどいい場所にあり,扱い易い経緯台です。

 この夜は,この21cmの集光力を生かしての観望ができました。
 空の状態が良くないため,恒星はピリッとしまらないので,北極星やリゲル等の二重星はあまり見栄えがしません。カストルも何とか分離。
 一方,M1のような散光星雲は力任せで,そこそこの見え方をしてくれていました。久しぶりに佐渡島M1を見たような気がします。
 レーザーポインターを連携させての快適ファインディングで,天王星もうまく導入できました。
 
   
 こんな感じで観望会は進んでいきました。

 空の状態が良くないといっても,印象が良くないのは倍率を上げての観望時のみ。肉眼でのんびり見上げると,冬から秋の星座の間を流れる天の川が明瞭に見えていました。
 天体望遠鏡で一通り観望した後に,一息ついて空を見上げると,いつも薄れることなく天の川が見えていました。天の川と言えば,はくちょう座からいて座たて座あたりまで濃く流れているイメージがあります。そんな夏の星空の風物詩。それが全く違って,オリオン座の北からカシオペヤ座を縦断してはくちょうまで。曲がりの浅い見事な一筋。晩秋に天の川の観望,リポーターは超久しぶりです。
 双眼鏡や肉眼で見るにはなかなか良い場所で良い空だったと思います。こちらを紹介選択してくれた会員さんに感謝ですね。
 もちろん残念な点もあります。全周的に山が迫り視野は狭い。南の方はほぼ見えません。やぎ座やみずがめ座はほぼ確認できず。くじら座もごく一部しか見えていません。東方の稜線沿いは,日和佐の町明かりを拾っているようで若干の明るさがありました。香川から来てる人が,『天頂にある天体を狙ってます』という意味がここでよくわかりました。
 
 
 観望は日付が替わっても続きました。
 実は昼間,事務局にとって多忙な一日で,いつもの夜食の準備ができませんでした。でも,ヨネさんがおいしい夜食を準備してくださってました。この夜の最終解散は午前1時前。4〜5時間の滞在で足冷えのしてくる深夜,夜食も恋しくなる状況。ありがとうございました,ごちそうさまでした。

 この夜は本当に多くの会員さんが参加してくれました。ただ,当夜はうまく連絡が取り合えて集合できたものの,もしかしたら第一展望台に行ったけど誰もいなかったと帰ってしまった会員さんがいないとも限りません。合流に当たって,今回は数度の電話連絡をもらいながらの集合場所案内になりました。ちょっと気をつけないといけないかなと反省です。

 当観望会の参加者は,ダヤンさん(と,お知り合いの方),ヨネさん,Natsuさん,星羊翁さん,Eishowさん,のぶりんさん(と,ご家族とお知り合い),Osakaさん,ピッコロと多数のご参加。
 遅くまで疲れさまでした。
 

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