鳴門市環境学習館依頼『天体観望会』2023年1回目
 2023/08/19

 
 鳴門市依頼の天体観望会,当会としては恒例の観望会となっています。場所は,鳴門市ウチノ海総合公園グラウンド。それほど空が暗いという場所ではありませんが,広々として,駐車場も広く,トイレ,自販機完備の安心して使える場所でもあります。

 今年も2回開催予定で,一回目となる今回は,夏の星座(天体)と土星が主な観望対象です。参加者は70名超と聞いていました。 
 ただ,空が暗くなるまでに時間があり,開催予定の19時半では,まだ空に明るさが残っています。この待ち時間をどうするかなどの懸案もありましたが,西空には,細い月が見えていました。高度も10°以上あり,空が暗くなるまでの,ちょうどよい観望ターゲットとすることができました。

 なお,今回のリポートは,リポーター付近の出来事や内容しか記録にない状態です。本来なら,あちこちの機材を回りながら,観察している風景をリポしたいところではあるのですが,自分が望遠鏡を操作して案内しながらという状況では,なかなかそれができません。ということで,リポートといいながら,完全に片寄った内容になっていることをお詫びしておきます。

 まずは,今宵,準備された5台の機材周りの紹介から。

 おなじみのミューロン210。昨年から準備されている(ドラえもん秘密兵器を登場させるときのかけ声風に)『今,これが見えてますボード!』
 確か制作費は100円だったような。
 20cmの口径がありますから,星雲星団も守備範囲になってきますが,当夜はその口径を生かせるだけの空の状態ではなかったような気がします。
 聞こえてくるKumaさんのアナウンスからは,一等星シリーズでやってますねというのが伝わりました。
 ところが,ここで今回のミューロン,意外な利点があることが判明。私の屈折機では,接眼部を120cmくらいの高さにセットしてあります。小学校高学年あたりに合わせたつもりです。それよりぐんと小さな子は,親御さんにだっこしてもらい,大人は少し腰を曲げてもらう。ちょうど中間程度にと思っていました。それが,今回は意外に小さな子が多いく,だっこする大人もたいへんそう。数十回は,天頂プリズムを回しての対応もしていましたが,そのたびにピントの確認が必要だったりして,微妙な待ち時間になっていたんです。
 そこに視点が低いこのミューロンのセットはうってつけ。
 『すみません,向こうの望遠鏡がちょうど良い高さで観察できますよ。』と案内したところ,移動を始めた人がいっぱい。



 
 『何?あのキラキラな望遠鏡は?!』
 私のそばにいた参加者さんたちからの声です。けっこう目立っていたようです。人工衛星がまとっているサーマルブランケットと同じ目的を持つモノでしょうか。外部からの熱の影響を小さくするための手段。それが初めて見る人には,かなり気になる存在になっていたようです。
 そしてこちらも口径20cm。純粋なニュートン式反射望遠鏡です。今回は新しい接眼鏡を準備されていたとのことですが,Fの短い機種との相性も良く,土星の細かい部分も良く見えていたそうです。途中,土星を覗かせていただきましたが,とてもシャープでした。
 そして電子観望。イマドキは,これ抜きに観望会は語れないのかもしれません。一度に多くの人に観察してもらえる,眼視以上に見える,どれも大きな美点です。
 ただ,この夜は後半,雲も薄雲も多くなり,私が見せてもらったときは,M8やM20が導入されていましたが,画面の中では雲が主役になっていました。対光害フィルターを使っても,雲だけはどうにもならないんですね。次回に大いに期待しましょう。
 
 
 『一年に一回のお出まし』 
  本当に七夕のような一年に一度だけの顔合わせ。望遠鏡を出す機会が少なくて,ここしばらくはこの鳴門市依頼の観望会だけですって?!
 これもまた口径20cm。惑星にも星雲星団にももってこいの大口径なのに,もったいないという気持ちでいっぱいです。そんなわけで,(1年ぶりなので)『うまく動きますか?』が挨拶代わりになってます。
 といいながら,自動導入機能にて,ファインダーでは捉えきれないような条件下でも,いくつかの天体を次々と見事に導入できていました。観望会では貴重な戦力。次回もよろしくお願いします。できれば年に一度なんて言わずに・・・。




 
  観望会デビュー!
 15cm屈折鏡筒ですよ。アクロマートですが惑星では色収差はわかりにくいですよとはオーナーの弁。それにしても,屈折機で15cmというのは迫力があります。黒色の鏡筒からは精悍さも出ています。SXD赤道儀とのバランスもカッコよく見えます。
 こちらも観望会の途中,土星を見せてもらいました。確かに色収差は感じません。10.6cm屈折との比較では,もちろんですが明るさが全然違います。土星は輪郭を見せる惑星だと個人的には思っていて,倍率を過剰に上げても,それほどぼやけることがありません。10cm機でも倍率を上げることはできますが,明るさが足りません。土星の輪郭がシャープで明るい。ずっと見ていても飽きない土星像でした。




 
  リポーター持ち込みの,いつもの10.6cm屈折です。月はコントラスト良く見えています。準備していたズームアイピースのコントラストも解像力上々。それら相乗効果で口径を必要としない天体は良く見えます。

 ここからは,リポーター周辺での観望会リポートになります。
 まずは,低高度の月齢3の月。観望会が正式スタートしていないうちから,月観望が始まってます。早々に,一人の男の子が,『見えている月が何か違う。』と指摘。天頂プリズムを使っているため,裏像になっているのを見破りました。これは鋭い!『なかなかの観察力ですよ。』と伝えたら,とてもうれしそうにしていました。でも,一緒にいた大人たちは『全然わからん・・・。』
 しばらくすると地球照がよくわかるようになってきました。じっと見入る人もいれば,0.5秒で去って行く人もいます。関心度の違いなんでしょうかね。
 参加者の列が途切れなかったので,けっこう長い時間,鏡筒は月に向いていました。小さな子が一生懸命に覗いていたので,『ウサギはいた?』と尋ねてみると,その子からは『月にウサギがいるの?』と真剣なまなざしで聞き返されました。聞いて良かったようなまずかったような。
 今回の観望会,ときどき質問が飛び出します。
 『低い満月は赤く見えるけど,どうしてなんですか?』とか,『今見えてる月は,すごく細いけど,三日月なんですか?』とか。
 ときどき,スマホで撮らせてほしいと依頼もありました。今までの観望会に比べると,希望する人はそれほど多くはなかったけれど,どの人もいとも簡単に撮影していたのにはビックリ。だいたいは,手が震えて月がズレたり,シャッタータイミングが遅れたり。そういう,戸惑いを想定していたら,それが今夜は皆さんあっさりと『やったぁ,写ったぁ!』と笑顔。スマホの性能が良いのか,使い慣れているのか。
 
 列が途切れた頃に,近くにいた人たちに小さな星空案内をしました。夏の大三角→はくちょうの北十字→天の川の位置,さそり座とアンタレス。『え〜っ,そうなんだ』等々,望遠鏡で覗くのと同程度の反応の良さで,かなり好評だったような気がします。
 月も沈んでしまったので,さそり座のM4を入れてみました。あまりに残念なイメージだったので,諦めてアルビレオを導入。ところが40倍程度では倍率が高すぎて,アルビレオが離れてしまい,他にも☆が数多く見えていたこともあって,あまり感動はなかったように感じました。宮沢賢治が,宝石に見立てた二重星なんですって紹介しても特に大きな反応はなし。
残念・・。
 早々にアルビレオから離れて土星にフォーカス。他の大きな望遠鏡が倍率を上げているだろうと,こちらは90倍ほどの中倍率で提供。『かわいい』という反応はいつもと同じ。この頃になると帰り始める人が目立ってきてました。おもしろいのは帰りかけていた人が,『土星の右に見えているのが衛星のタイタンですよ。』の声に反応して,『衛星やって,どれどれ?』と舞い戻って来る人がたくさん。
 最後は,こと座のイプシロン星。なかなかうまく見ることができなかったようですが,『わかった!見えた!』と大きな声を出す人もいました。そういう反応が見られると,いつものことながら良かったと感じます。

 当日の最小口径機周辺では,こんな感じで観望会が繰り広げられていました。
 ホントに申し訳ないのですが,他の機材周りでの展開が全く不明。残念至極です。できれば,リポーターは機材を持ち込まずに,星空案内と全機材の活躍ぶりを中心とした観望会完全リポートをやってみるのもおもしろいかなと今回は感じました。




 参加協力者はOsakaさん,Yamaさん,Kumaさん,モレキュールさん,のぶりんさん,ピッコロの6名,一瞬参加のダヤンさんを含めると総計7名でした。
 ダヤンさんが少しだけ顔を見せてくれました。諸事情の中,気持ちだけでもありがとうございました。
 皆様,お疲れさまでした。

  

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