ミニボーグ50の対物レンズのだけアップグレードしました。
 
 
 あるとき,トミーテック(Oasis)のHPを見ていたら,たまたま「B品セール」なるものをやってました。このB品というのがよくわからなかったのですが,メーカーによると光学性能等に影響がない程度の微少な傷があり,正規品として出荷できないものとの説明がありました。
 少々不安があったものの,格安な印象があったので,6cmEDのレンズ部のみ申し込んで,ミニボーグ50の60ED化を企んでみました。
 納期が10日ほどと伝えられていましたが,5日で到着。早速開封してみて,どこがB品たる理由なのかと探したのですが,全く見当たりません。しばらく手のひらでコロコロ転がしながら見てみると,レンズのコーティングに一箇所,非常に小さな「・」のコート傷があるのがわかりました。たぶんこれかなぁ?という感じ。他にはそれらしき箇所は見当たらず,その程度だとしたら,このメーカーのB品は,たいへんお得かもしれません。
 
 
 《スペック》
 ●口径:60mm
 ●焦点距離:350mmF:5.8
 ●2群2枚EDアポクロマート(マルチコート) 
 ●重量:510g
 
 天体を観察してみました。
 まず,WS−30mmでプレアデス星団を見てみましたが,視野的にはまさしくファインダーの世界。けれども風景を見たときほどのヌケの良さは感じられません。それよりも視野の60〜70%くらいから,星像が崩れてきて,周辺の部の星が全部星雲に見えてくるのです。やはりこのアイピースは短焦点の鏡筒には使用できません。
 続いて火星を見ました。カメラ用の三脚に載せただけなので,追尾しながらのじっくり観察ではありません。
 LV−5mmで70倍。この倍率で模様があるのが明確にわかります。たいへんシャープですが,火星が小さい。惑星の観察には低倍率過ぎます。3mmに替えて120倍弱で見てみましたが,今度は模様をじっくり確認する前に,火星が逃げていきます。カメラ三脚ではきついです。
 次にリゲル,シリウスといくつか恒星に向けてみました。倍率が低めなので小さ目ですが,きれいな回折リングが見えます。M42内部のトラペジウムも4つきれいに見えました。焦点内外像の対称性もまずまずかな。
 天体観望第一回目の印象としては,やはり短焦点小口径のため,倍率は上げにくい。それと集光力不足を痛切に感じますが,これは当然のこと。お気軽に低倍率で星野散歩という使い方がいいようです。また非常に軽量なことから,直焦点撮影派の人には,扱いやすい鏡筒かもしれません。
 
 
半月を見てみました。気流の状態としては,季節の割に落ち着いていました。
 まずLV−25mmでは14倍と,これもファインダーっぽく使えます。じわじわと倍率を上げていこうと思いますが,焦点距離に慣れていないため,その都度,割り算が必要です。次にナグラーズームの6mmレンジで見てみました。倍率は約58倍。これで視野一杯に半月が見えますが,視野周辺部の月の縁は薄緑で縁取られます。これが対物レンズの色収差なのかどうかは,この時点では不明。月の縁を視野中央にもってくると,この緑の縁取りは消えます。色収差ではなさそうで,アイピースとの相性でしょうか。倍率を少し上げてみます。ズームで87倍→117倍としていってみると,月周辺部に紫色の色収差がわかるようになります。これは視野の中央にもってきても,同じように見えす。色収差は大きめに感じます。
 アイピースを替えて,XL−7mmにしてみると,50倍。半月全体を見るにはちょうど良い倍率であり,この組み合わせでは,色収差も感じず,視野周辺部の月の縁も無色です。これも相性でしょうね。アイピースを選ぶ鏡筒といえそうです。(下は,当夜撮影した画像です。)
 
 
 土星を見てみました。
 ファインダーがないので,土星を入れるのに極低倍率にする必要があります。25mmを使って,14倍で視野は3°強。なんとか使えます。
 M44プレセペに接近しているときで,14倍の倍率で,星団と土星の全体がちょうどいい案配で見ることができます。 この程度の低倍率だと,視野周辺部まで,きれいな点像の☆が見えます。気持ちのいいイメージです。
 ZOOMアイピースに替えてみました。6mmレンジで60倍弱。5〜4mmと上げていきましたが,コントラストが高く,土星の輪郭もくっきりシャープ。けれども倍率の不足を感じます。
 3mmレンジにすると120倍弱。有効最大倍率付近になりますが,輪郭はくっきり。コントラストはやっぱり高く,輪郭もしっかりしています。詳しく観察すると,本体の縞がわかります。解像度の目安となるカシニの空隙ですが,環の両端の部分で何となくわかります。意識して観察するとあるかなぁとわかるレベルです。端っこ以外の部分では全くわかりません。
 衛星は,タイタンとレアの2個がこの夜は確認できました。
 月を見たとき感じた色収差はわかりません。6cm口径としては,コントラスト高く,ヌケも良く,概してかない良いイメージだと思います。
 

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