ナグラーズーム 3ー6mm
 
 
 アイピースレポート第2弾。ナグラーズーム3−6mmアイピースです。
 これはご存じ,テレビュー製のアイピースで,『ナグラー』の名を冠されていますが,いわゆる超広角タイプのものではありません。どうして『ナグラー』かという点は謎ですが,おそらくナグラー氏の自信作とういことなのでしょう。


 パッ見は小さく,持ってみると軽く,何となくおもちゃな感じがします。
 ではなぜ,このアイピースを選んだのかというと,評判では,ズームアイピースの概念を破るシャープさがあるということ。また,1本で3,4,5,6mmの4本分の短焦点のものがそろえられるとういこと。性能が良いならズームというのはたいへんな利便性があるということ。4mmと5mmの中間という使い方ができるのもその一つで,そのときのシーイングに合わせて,最適の倍率を選ぶことができるのです。
 
 さて,その品定めです。
 まず覗き込んであれっと思うのは,接眼側レンズのコーティングが青い!今まで目にしてきたマルチコーティングの色は,多くが深緑。青,良くよく見ると青紫?珍しいコーティングの色です。もっと覗き込むと,良く見かける深緑のコーティングがされているのもわかります。反射光の青と緑がからみあってる様子は,なかなかのもの。
 
  

 タカハシSKY90に取り付けて,土星,シリウスを見てみました。
 まず,ノーマルのF5.6の鏡筒に対して,倍率は83倍〜167倍まで,無段階に変化させることができます。もちろんズームリンクを回すのですが,3.4.5.6mmにそれぞれクリックストップがあり,今何mmにあるのかということがわかります。テストした夜は,天候は良く,風もなくて落ち着いているものの,上空の気流は乱れているらしく,土星の輪郭が揺れています。
 さて,そのイメージですが,口径9cm,この倍率では最高の土星と言えるでしょうか。コントラストが高くシャープ。土星の輪郭が非常に堅めで揺れ具合が良くわかります。また土星の環の手前と向こう側の違いが明確にわかります。この状態では見ていて飽きることがないほど素晴らしい土星像を見ることができました。SKY90で,惑星を対象にこれだけ見入ることができたのは,タカハシ製旧ORの4mm,6mmを使用したとき以来でしょうか。
 イメージ以外に気がつく長所はというと,ズームリンクを回してみてもピントが移動しないこと。クリックストップのところで,カックン・カックンと玩具のような感覚があるのですが,視野の広さも不変。このときは,赤道儀のセッティングの精度が良くなくて,すぐ土星が視野の端にいってしまうのですが,像がくずれません。視野の端っこでもカシニの空隙が良くわかります。コントラストも落ちません。
 カタログに記載されているアイレリーフは,10mm。視野の広さは50度。狭くはありませんが,広くもありません。ゴム見口を立てて使うと,普通に目を近づけて7割くらいの視野を確かめることができます。この感じからは,焦点の短さももちろんですが,惑星用アイピースだと限定できそうな気がします。
 次に,SKY90に専用エクステンダーを付けて,800mm(F8.9)にして覗いてみました。このときの倍率は,133倍〜267倍。後半は過剰倍率です。
 この状態では,土星が暗く,気流の影響も強くなって,あまり見ていて楽しくありません。5〜6mmのレンジでは,F5.6時の倍率と重なりますが,見え方は前者(F5.6時)が上。明るさもシャープさも違いました。またこの夜のシーイングでは,180倍以上は使えませんでした。
 うわさのゴーストは,意識して探してみたものの,どのレンジにおいても確認することはできませんでした。
 
 最後に,シリウスに向けてみました。ぐらぐら揺れていて,とても回折リングを楽しむというわけにはいきませんでした。ただ,ズームリンクを回して倍率を上げていくと,リングの大きさが変化していきます。これはこれでおもしろいものです。倍率の違いによる二重星の見え方なんかを調べるときには,かなり役立つような気がしました。
 
 
  
 左が 6mmで,右が3mmの状態
ぼちぼちと続いていくかも。次は,お遊びでXO−5mmと比べてみましょうか。。。

久々にリポート追加です。
木星で,NZ(5mmレンジ)と1時間ほどPentaxXO-5mmと比較してみました。結果ですが,大きな差違ではありませんが,XOの方がコントラストが高いために良く見える印象です。木星面の模様のうち,中央の二本のベルトのイメージには違いはないのですが,薄くてわかりづらいSTBは,XOの方が良くわかりました。

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