ソロ観望deスケッチ
 

 愛読(?)書の一つに,大野裕明さんの『見ておもしろい星雲星団案内』という本があります。先日,書棚の奥に隠れていた本書を発見。思わず見入ってしまいました。この本,何度ページをめくってもワクワクするものがあります。そこでスケッチもおもしろいかな,そのうち気が向いたらやってみようと思っていたんです。

 
 

 5月連休,晴天の見込みということでおなじみの潮吹展望台へ小さなお出かけ。今回は,観望&スケッチと思い,9cmアクロマート屈折がお伴です。性能なんてどうでもいいんです。もう一つの憧憬でもある藤井旭さん式スタイルでもある愛犬と小型望遠鏡での星見。小さな望遠鏡を車に載せて,野山に出かけて一人のんびりと星見。急にそんな気分になっちゃいましてからの,ソロ観望でした。
 場所は,県南の潮吹岩展望台。
 スピードは出さないので,片道1時間15分ほどの距離。
 途中では,いつものパターンで夕食。
 
 
  立ち寄るのは一番星さん。屋台のたこやきさんです。味良し。小さなあげタコで,運転しながら片手でつまめます。
 ※よい子の皆さんはマネはしないでくださいね。
 南島辺りからつまみ始めて,桑野あたりで完食。お茶を一口二口飲めば,それで今夜の夕食は終了です。


 潮吹岩展望台,もう15〜20kmほど南下したら空の状態はまだ一段と上質になりますが,トイレがあって,南が開けていて,勝浦よりは空は暗い。徳島市内から1時間ちょいで行くことができるお手頃感がお気に入りの場所でもあります。
 

 到着したのは19時半頃。西の空には細い月がきれいに見えていました。
 ここでビックリしたのが先客さん。バイクのツーリング仲間のようです。数名なんですがテントをあちこちに張って,焚き火しながらいろいろと盛り上がっていました。まあ,それは気にせずに,ほぼすぐお隣に駐車して望遠鏡をセッティング。本当は静寂の中,一人ぽつんと寂しさを感じることも期待しながら・・・と思っていたのですが,今回は残念。けっこう賑やかでした。藤井旭さんの世界とはちょっと違った!

 
 
 
 
 スケッチ用にと全て正立にしてみました。正立ファインダーに正立プリズム。特に高倍率は使用しないので,正立化による像の悪化は気にしません。アイピースはズーム一本。
 まずは,細い月から観察。低〜中倍率では色収差は感じられずシャープな月です。いくつか恒星も見てみましたが,短焦点アクロマートなわりに,星像は小さく収束してけっこうシャープです。
 空の方は時間とともに,かなりの数の星が見えてきていましたが,北斗七星のある北東の方向はまだ白っぽい。
 望遠鏡も空も落ち着いてくるまで待てないので,順にメシエを見ていきました。
 21時近くなって,空の状態が”ワンランク昇格”。
 スケッチ開始です。
 
 
 りょうけん座M51:9cmですからこんなもんでしょう。『見ておもしろい星雲星団案内』には8cmでのスケッチが記載されていますが,それほどは見えません。機材の差以上に空の暗さの違いが大きいのでしょう。それでも親子は容易にわかります。低倍率の方が明確度が上がるのは当然ですが,70倍よりも35倍程度の方がしっかり見えてました。腕の感じは心眼を使ってもわかりません。空が白っぽいときはほぼ見えなかったのが,少し暗くなるだけで見違えるように見えてきました。空の暗さが一番の武器。
 
 
 おとめ座M104:ソンブレロ星雲です。導入はとても簡単。スピカを導入して,そのままほぼ真西へ。ぱっと見,横長の切れ長なイメージ。よくよく見ていると,下側(南側)がスパッと黒くなっていて,上側はボンヤリ。このスパッという部分が暗黒帯なんでしょう。
 
 
 しし座M65,M66:しし座の系外星雲トリオです。NGC3628は欄外!M65よりもM66の方が大きくて明るいので見やすい。M65の方は横長だけの印象ですが,M66の方は芯があって,腕の伸びの方向からは少し傾いてる感じがわかります。これは3500万光年先の天体の生の光なんだ,思わず見入ってしまいました。
 
 
 りょうけん座M3:M13に負けず劣らずの立派な球状星団です。アクロマートの9cmでもブツブツ感がしっかりあります。今回はズームアイピースが1本しかない関係で,これ以上倍率は上げることができませんでしたが,思いのほか見えてました。


 以上,メシエの中でもメジャー級な天体でスケッチ4枚(が精一杯)。1枚あたり10分ほどかかりました。特に恒星が難しい。じっくり見つめてると見えなくなって,いわゆる眼の細胞の特徴ですね。明るさの違いなんかも,見れば見るほどわかりにくくなってきます。後からStellaNavigatorで調べて,光度を書き込みましたが,見えていない明るい星があったり,逆にない☆をスケッチしていたり。謎だぁ。なのでスケッチ中の恒星の位置や数はあてになりません。ただ,メシエ天体は可能な限り見た感じに近いようにIllustrationしてみました。
 本当は,10枚ほどを予定していたのですが,ペンライトが使いにくく,その電池も切れかけ,鉛筆の先が丸んできた,隣の会話が気になる・・・いろいろと気分が乱れました。今回は4枚でくじけましたが,ノルマは課さないで気分のままに描いた方が良かったかな。
 単に観察観望するよりも,スケッチしながらの方が見方も違ってきます。ちょっと気合いが入ってくるんでしょうか。腕は見えそう?とか芯はあるか?どこまで拡がってる?とか,何を見ようとするかの意識の有無が大きく影響します。スケッチもたまにはおもしろいです。
 
 
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